【食育特集】食を通して子どもの生きる力を育てよう(後編)

2018年08月09日 子育て 就学前の学び 小学生の学び

「食べることは生きることの基本」という本多京子先生。NPO法人日本食育協会の理事を務め、子どもの食と栄養に関するさまざまな指導も行っています。子育て家庭ではどのように食育に取り組んでいくとよいのか、お話を聞きました。栄養バランスのとれた食事作りにすぐに役立つコツもご紹介します。

(記事:「みどりのなかま」 2018年6月号 学研エデュケーショナル)


食事のとき、子どもに役割を与える

食事のとき、子どもに役割を与える

ご家庭では、自分が食事の準備を手伝わないとごはんを食べられないということを理解させるために「家族全員の食器を食卓に並べるのは○○ちゃんの役割」と決めるといいでしょう。これには、正しい食器や箸の配置を覚えられるという効果もあります。家族全員がそろって夕食をとれれば理想的ですが、ときには、お父さんが仕事でいない日もあるでしょう。それでも、お父さんの茶碗やお椀、箸などを所定の位置にセットさせます。お父さんがいっしょにいなくても、そこにいないお父さんを思いやり、ごはんは家族みんなで食べるんだ、ということを実感できます。

私はよく、「ごはんを食べる〝場所〞が大事」と言います。「ここがお父さん、ここがお母さん、ここが自分の席」というように食卓での座る場所をきちんと決めておくことをおすすめします。食べる場所に自分の席があり、自分の茶碗や箸が置いてあると子どもが安心できる居場所になります。

食卓は、おじいちゃんやおばあちゃん、兄弟など世代の違う人と会話ができる場でもあります。違う世代の人と話ができるようになることは社会性を身につけることにもつながります。


台所の手伝いが子どもの生きる力を強くする

台所の手伝いが子どもの生きる力を強くする

食育の一環で子どもに料理の手伝いをさせてみましょう。台所で食材を切ったり混ぜたり、ごはんを炊いたりすることで、子どもが自分で料理を作ることができるようになるので、まず生きる力が強くなります。危ないと思うかもしれませんが、豆腐を手のひらに乗せて包丁で切る作業をやらせてみると、手が切れないようにさじ加減も学びます。危ないからこそ見せて、やらせてみます。このとき大事なのは、保護者が手を出さず見守ること。こうして子どもは刃物が危ないこともわかるし、暮らしの知恵が身につくのです。

先日、ある親子の食育体験ツアーで、小学生の子どもが魚をさばいて「アジの開き」を作るというイベントがありました。生の魚に包丁を入れる場面を見たことがない子どもたちの中には、魚の腹から内臓が出てくるのを見て驚き、泣き出す子もいました。最近では、鮮魚店で魚をおろす場面を見る機会も少なく、生き物のお腹に刃物を入れれば内臓が出てくる、それは人間も同じなのだという連想はしにくくなっています。子どもたちは、魚をさばく体験を通して命の大切さを学んでいました。


日本の食文化についてもっと知る必要がある

これからの時代の子どもたちは、日本国内だけでなく世界で活躍するようになりますし、海外からも多くの人が日本へやってくるでしょう。そのときのためにも自分が育った国の食文化についてきちんと知っている必要があると思います。

今、日本の大学生に「一汁三菜の絵を描いてごらん。」と尋ねても正しく描ける学生は多くありません。それは保護者がきちんと教えてこなかったからなのだと思います。外国に行って、日本と異なる食文化に出会ったとき、一汁三菜など日本の食文化についての正しい理解がなかったら、外国との違いにも気づけません。未来を担う子どもたちには、やはり日本の食文化にもっと関心を持ってもらいたいと考えています。

そのためには保護者が食育に興味を持って、日ごろから実践していく必要があるでしょう。大事なのは何を食べさせるかではなく、正しい食習慣を身につけることです。食べることは生きることの基本ですから、食育を通して子どもの生きる力を育てていきましょう。


本多京子先生の3つの献立アイデア

栄養バランスがとれた献立の考え方を本多京子先生に教えていただきました。簡単で、忙しい方でも負担にならない献立アイデアをご紹介します。


(1)調理法が重ならないようにする

調理法が重ならないようにする

さばのみそ煮が主菜のときに、きんぴらごぼうとひじきの煮物……それぞれはよいのですが、しょうゆやみそなどで塩分が多くなりがちです。そういうときは、副菜をゆでた青菜のあえ物にしたり酢の物にしたりなど別の調理法にします。調理法を変えると自然と栄養バランスのとれた献立になります。


(2)市販品も賢く活用する

市販品も賢く活用する

料理をすべて手作りする必要はありません。市販品も上手に利用しましょう。市販の鶏のから揚げをメインにして、家庭ではサラダや汁物だけを作るという方法もOK。または、買ってきたおかずに家でひと手間を加えるだけでも、栄養バランスが整います。


(3)「展開料理」を覚えよう

「展開料理」を覚えよう

これは、一つのシンプルな料理を作って、それをちょっとずつアレンジして別の料理に展開していくという方法です。手間が省けるうえに、献立を考えやすくなるのがメリット。

仕事などで忙しいときは、賢く工夫して、食事を作る負担を軽減しましょう。


食育につながる生活習慣のポイントについてはこちらから

食を通して子どもの生きる力を育てよう(前編)


(撮影/田辺エリ イラスト/ホソクボオモチャ)


  • 医学博士・管理栄養士 本多京子先生

    医学博士・管理栄養士 本多京子先生

    NPO法人日本食育協会理事。実践女子大学家政学部食物学科卒業後、早稲田大学教育学部体育生理学教室研究員を経て、東京医科大学で医学博士号を取得。プロ野球のほか各種スポーツ選手の栄養指導も担当。日本体育大学児童スポーツ教育学部では「子どもの食と栄養」を指導。

  • 【本多京子先生の著書】

    【本多京子先生の著書】

    図解でわかる! からだにいい食事と栄養の教科書(永岡書店 1,600円・税別)

    1日に何をどれだけ食べればいいのか、栄養バランスのよい食事とは何か、健康な体を作るために知っておきたい5大栄養素の特徴や働き、上手に摂取するためのコツなどを図解でわかりやすく解説。年代別に何をどれだけ食べればいいのかの目安などもあわせて紹介しています。

見て、触って、育てて、味わう食育、農体験はどこでできる?次の開催はいつかな?

出かけよう!体験イベント

学研ゼミでは、「色々な事に興味を持ってほしい」「未来を生きる力を身につけて欲しい」という保護者の方の想いに応え、お子さまの好奇心や探究心を育むさまざまな体験サービスをご用意しています。

興味・関心の入口となるラインナップを揃え、お子さまの「気になる」が「できた!」「なるほど!」そして「もっと知りたい!」に変わる、そんな特別な体験のお手伝いをいたします。

開催日程は、体験イベントページでぜひチェックしてみてくださいね。(ハッケン!みっけ隊)

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