麻布中の国語教諭に聞く【家庭で育む読解力】人の気持ちを理解できる子どもに育てよう(後編)

2018年07月12日 小学生の学び 中学生の学び 子育て

(記事:学研エデュケーショナル教育情報新聞「みどりのなかま」 2018年5月号)

「教科書や新聞記事の文章を、きちんと理解できない中高生が多くいる」という研究結果が国立情報学研究所(※1)から2017年11月に発表され、子どもたちの読解力の低下が指摘されています。東京大学への合格者数が、常に上位10位内にランクインしている名門校、麻布中学・高校の国語科教諭であり、子どもの読解力に関する著書が多い中島克治先生に、家庭で読解力を育むコツをアドバイスしていただきました。

※1 国立情報学研究所=情報学研究と大学院教育に取り組む大学共同利用機関。


読解力を育むために読書は不可欠

読解力を育むために読書は不可欠

読書をすればすぐに読解力が身につくというわけではありませんが、読解力を高めるためには、やはり読書は欠かせません。実際、たくさん本を読んでいる子は学力が伸びます。

本を読み進む中で「次はどうなるんだろう。」と想像を膨らませることで考える力がつきます。登場人物の感情や行動に触れることで、人間のさまざまな感情や行動を知ることもできるでしょう。子どもが現実の社会で、相手の心を感じ取って、豊かな人間力を育むためにも、やはり本をたくさん読んでいただきたいと思います。


読書が苦手な子は、興味のある分野の本から

「うちの子は、本をあまり読まなくて……。」と悩む保護者の方も多いようですが、読書が苦手な子にいきなり名作を読ませようとするのは難しいでしょう。その場合は、お子さんが興味を持っている分野の本から選んでみてはいかがでしょうか。スポーツが好きな子なら、一流のアスリートを取材して書いたルポのような本をすすめてみます。これらの本は、スポーツの技術だけでなく、アスリートの精神的な側面にも触れていて、心の葛藤なども描かれています。本が苦手な子でも、あこがれのアスリートについて書かれた本なら興味深く読めますし、人間の内面が描かれた物語を読むきっかけになるかもしれません。


子どもが共感できるライトノベルやマンガもOK

読書が好きな子には、もちろん名作などもどんどん読んでいただきたいのですが、世界名作全集のような本だけが、生き方に悩んだ子どもの役に立つわけではないと思います。たとえば、ライトノベルやマンガのほうが、子どもにとってリアリティがある場合もあります。複雑さや困難がつきまとう現実社会を生き抜くとき、大人社会の理不尽さなども描かれたマンガのほうが共感できる場合が多いかもしれません。質のよい作品なら、ライトノベルやマンガを〝読書の入り口〞として選ぶのも一つの手段です。大事なのは、本と子どもの距離が縮まることです。好きなものを本人が選んでもいいし、保護者が読ませたい本をすすめてもいいでしょう。


人気のあるベストセラーから選んで読んでみよう

本を選ぶときのポイントとして「みんなが読んでいる本」というのも目安になると思います。いわゆるベストセラーもその一つ。「この本、おもしろかったよね。」という会話で盛り上がれますので、コミュニケーションツールとして、人気のある本から選んで読むというのも読書の楽しさを体験するにはよいと考えています。

そもそも、読書習慣に関しては、家庭の中で保護者自身が本を読む環境を作っているかどうかがとても重要です。子どもが本を読まないと悩む前に、保護者のみなさん自身が家で本を読むように努力してみてはいかがでしょう。


豊かな人生を歩むためにも読解力が必要な時代に

冒頭で、「人の気持ちを感じ取る」のが読解力だと申し上げました。これからの時代は、自分と異なる文化や価値観の中で生きている多様な人たちへの共感力が求められるようになるでしょう。そんな中でカギとなるのが、他者の心を理解できる読解力です。相手を思いやれるお子さんは、どんな状況の中でも、だれかを助けたり、助けられたりしながら他者と支え合って生きていけるはずです。将来、お子さんが、豊かな人生を歩んでいけるためにも、読解力を育んであげてください。


読解力を育むための読書のポイントについてはこちらもご覧ください

【家庭で育む読解力】人の気持ちを理解できる子どもに育てよう(前編)


  • 麻布中学・高校国語科教諭 中島克治先生
    (撮影/大野真人)

    麻布中学・高校国語科教諭 中島克治先生

    麻布中学・高校を経て、東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程に進んだ後、現職。幼いころからの膨大な読書経験と、さまざまなジャンルの本に対する深い造詣をもって、人間性を育て深めるための読書の重要性を伝え、読書への関心を高める指導を精力的に行っている。

  • 【中島克治先生の著書】

    【中島克治先生の著書】

    できる子は本をこう読んでいる 小学生のための読解力をつける魔法の本棚(小学館 1,300円・税別)

    本をどう読めば、読解力がつくのか。中島克治先生が、家庭でできる国語力アップのための読書法を公開。低学年からできる「読解力を高めるための本の読み方」を徹底的に解説しています。同シリーズで『中学生のための読解力を伸ばす魔法の本棚』も発売中。

子ども向け電子書籍読み放題サービス「学研図書ライブラリー」で、楽しい読書習慣を!

学研図書ライブラリー

「学研図書ライブラリー」は、学研グループが出版する電子書籍の中から、子どもの興味・関心を引き出し、知的好奇心を育む書籍を厳選して配信する電子書籍の図書館です。

600冊以上の電子書籍が月額500円 (税別) の定額で読み放題のサービスで、第11回キッズデザイン賞「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門」を受賞しました。

学研ゼミでは、電子書籍を通じて、お子さまの読書習慣を育むお手伝いをいたします。(ハッケン!みっけ隊)

関連するキーワード

小学生の学び 中学生の学び 子育て

pagetop