麻布中の国語教諭に聞く【家庭で育む読解力】人の気持ちを理解できる子どもに育てよう(前編)

2018年07月11日 小学生の学び 中学生の学び 子育て

(記事:学研エデュケーショナル教育情報新聞「みどりのなかま」 2018年5月号)

「教科書や新聞記事の文章を、きちんと理解できない中高生が多くいる」という研究結果が国立情報学研究所(※1)から2017年11月に発表され、子どもたちの読解力の低下が指摘されています。東京大学への合格者数が、常に上位10位内にランクインしている名門校、麻布中学・高校の国語科教諭であり、子どもの読解力に関する著書が多い中島克治先生に、家庭で読解力を育むコツをアドバイスしていただきました。

※1 国立情報学研究所=情報学研究と大学院教育に取り組む大学共同利用機関。


「読解力」とは、言葉に表せない思いを感じ取る力

「読解力」とは、言葉に表せない思いを感じ取る力

読解力とは、一般的に「文章を読み、書いてある内容や行間にこめられた思いをくみ取る力」というように考えられています。でも、私はもう少し広くとらえています。

たとえば、人が深く傷ついたり悩んだりしたときの言葉に表せないような思いを感じ取ることも「読解力」だと思うのです。読解力は、単に国語の成績を上げるためのものではなく、日常生活の中で他者の言葉にできない気持ちを理解するためにとても重要な力だと考えています。


子どもとの会話の時間を作ろう

家庭でできる子どもの読解力を育てる方法の一つとして、保護者が子どもの話を引き出すということがあります。まずは、食事のときに、子どもが「今日は学校でこんなことがあったよ。」と話せるような会話の時間を保護者が作ってあげましょう。

これが習慣化すると、子どもも、「今日は、このことを話そう」と考えるようになります。 そして「いつ、どこで、だれが、何を」を子どもが頭の中で組み立てながら話せるように促すことで、出来事を復元しやすくなります。

そのとき注意したいのが、話に対して子どもを深追いしないこと。さらに、意見はせずしっかり聞いてあげることが大切です。こうしたことをくり返すうちに、子どもは読解力を獲得していきます。


「音読」と「書き写し」も“読み”を深める

読解力を育む学習法の一つとしておすすめなのが「音読」です。国語の授業で生徒に音読をさせると、読解ができているかどうかがすぐにわかります。読解が不十分な生徒は、文意を把握せずに一文字一文字読むのでたどたどしくなるからです。ところが、読解が苦手な子でも音読をくり返すと、だんだん、すらすらと読めるようになります。音読をくり返すことで、言葉のつながりを理解でき、本の中身や登場人物の心も理解できるようになっていきます。

また、文章を読み取る力を育てるには、「書く」ことも有効です。小学生なら、教科書の本文をノートに書き写すことから始めてみましょう。

マス目のあるノートに、一字一字ていねいに書きます。このとき、改行や句読点なども本文に忠実に書き写します。たとえば、物語や詩などは、筆者の考えによって改行されていたりします。そういうものを正確に書き写すだけでも、漢字を覚えられ、文体を肌で感じることができるでしょう。

単純な作業のようですが、咀嚼しながら言葉に触れられ、文章を読むことに慣れるのにも役立ちます。毎日少しずつ続けられるように、1日1ページとか一段落ずつとか、取り組みやすい分量から行いましょう。そして、書いたものを保護者が見てあげるとよいでしょう。

「音読」と「書き写し」も“読み”を深める


読書感想文を書くことでも、読解力がアップする

学校ではよく「読書感想文」を書かせますが、これは、読解力の育成にはとても効果的です。とくに、学校が舞台だったり、自分と同世代の子どもが主人公だったりする物語を読むと、自分の生活と結びつけて感情移入しやすく、心情の変化も読み取りやすくなります。本の世界で感じたことを自分の言葉にして感想文を書く作業が、心と言葉の距離を縮め、読解力を効果的に高めるのです。

小学生なら、まず400字くらいの感想文にまとめることから始めましょう。慣れないうちはあらすじを書いてしまいがちなのですが、たとえば、主人公のことが好きなら、なぜ好きなのか、理由を書くように促します。「こういう理由で、こう感じました。」と感想文をまとめるだけでも、作品を注意深く読み取る習慣が身につき、読解力の向上につながりますよ。



読解力を育むための読書のポイントについてはこちらもご覧ください

【家庭で育む読解力】人の気持ちを理解できる子どもに育てよう(後編)


  • 麻布中学・高校国語科教諭 中島克治先生
    (撮影/大野真人)

    麻布中学・高校国語科教諭 中島克治先生

    麻布中学・高校を経て、東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程に進んだ後、現職。幼いころからの膨大な読書経験と、さまざまなジャンルの本に対する深い造詣をもって、人間性を育て深めるための読書の重要性を伝え、読書への関心を高める指導を精力的に行っている。

  • 【中島克治先生の著書】

    【中島克治先生の著書】

    できる子は本をこう読んでいる 小学生のための読解力をつける魔法の本棚(小学館 1,300円・税別)

    本をどう読めば、読解力がつくのか。中島克治先生が、家庭でできる国語力アップのための読書法を公開。低学年からできる「読解力を高めるための本の読み方」を徹底的に解説しています。同シリーズで『中学生のための読解力を伸ばす魔法の本棚』も発売中。

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